四ツ太鼓の中祝い

2007年撮影 四ツ太鼓

皆さんは國造神社の秋祭りに向けて「中祝い」というのがあるのをご存じでしょうか。

祭りの練習が始まってからお祭り当日までのスケジュール中間あたりで、関係者代表や乗り子さん、その親御さんが集まり、今年の祭りの成功を願ってお酒を酌み交わします。

四ツ太鼓の中祝いなのに、祭りで敵対している揚の牛鬼(大牛・小牛)の役員さんも呼んでおもてなしするという、なんともお祭りの心意気が伝わる「隠れた」お祭りです。

余談ですが、私は福岡の海に面していない平野出身で「浜(はま)」とか「揚(あげ)」という言い方がピンとこなかったのですが、海岸に近い方が「浜」、海岸から離れて山沿いになると「揚」…海沿いの地域では結構一般的な呼び方なんですね。

今年はその中祝いを、青年団長・三好勝也さんと青年団・紀伊野弥さんのご協力で取材させて頂きました!contents_line

みんな揃って乾杯!

10月22日夜、会場である2区公民館にお邪魔しました。

団長さんのお話に続いて乾杯!…その後団長さんは接待でお忙しいということで、副団長の岡昭光さんにお話を伺いました。

― 岡さんは小さい頃、四ツ太鼓に乗られたんですか?

僕は乗りました。当時どうやったのかあまりよく覚えてはいないのですが、練習の時に泣いていたのは覚えていますよ(笑)。

昔は乗り子が16人いて交代で乗せることがあったくらい子供が多かったんですけど、最近は少なくて。今年8人乗るのは多い方です。5~6年前に8人乗ったことがあるけど、それ以来じゃないかな。

― ところで、四ツ太鼓と牛鬼というのはお祭りでは敵対するイメージですが、こうやって一緒に酒を酌み交わすような中祝いっていつ頃からなんでしょうか?

さぁ…いつ頃というのは分からないですが、もうずっと一緒に中祝いをやっていますよ。

それで祭りが終わって今度は『花開き(ご祝儀を開封する)』があるでしょう。その時には僕ら四ツ太鼓が牛鬼に呼んでもらう、という形です。

― お互い呼び合っているんですね。それは知りませんでした。

確かに祭りでは四ツ太鼓と牛鬼は敵対していて、祭り中にお互い罵倒したり、喧嘩したりもしますけど(笑)それはその時だけ!その場で終わりですよ。

お互い盛り上げて一緒に祭りを作りあげるという感じですね。

青年団団長・三好さん。みなさんへの気配りがステキです。青年団副団長・岡さん。すでに酔って子供に絡まれてます。― 岡さんの四ツ太鼓へのこだわりってありますか?

今と昔では時代も違うしいろいろ習慣も変わってきてるけど、四ツ太鼓には四ツ太鼓のこだわりがありますよ。

例えば絶対四ツ太鼓は地べたにつけたらいけん!タイヤ(四ツ太鼓を移動させるための車)付けんぞ!とか。

今でも頑なに守ってるし、そういうこだわりが誇らしいです。

― 昔とちがって過疎化が進んできて、乗り子さん同様担ぎ手さんも少なくなったのでは?

確かに住んでいる人は少なくなりましたが、今でも祭りとなれば帰ってくる人も多いし、今年は青年団に新人が3人入ったので盛り上がると思います。

ただ今年は平日なので…皆さん休みが取りづらいっていう状況もあって、そういうのが心配ですよね。

そういえば去年はカレンダーは休日でよかったんですが、雨が降って藁(わら)が濡れて重くて…ざぶとんもずぶぬれでした。

― そうだ!思い出しました!去年は雨で鉢合わせが中止になったんでしたね。

えええっ!?それ忘れてもろたら困りますよ!!

― すみません!!

今年はそのリベンジいうんですかね。豪快に鉢合わせしたいですよね!なーんか、こう、去年はもやもやしたまま終わった感じが…不完全燃焼いうんですかねぇ…。

牛鬼の人たちも同じ思いやと思うんです。

だからこそ、今年は絶対鉢合わせして盛り上げるぞ!と皆思ってますよ。

区長さん、各役員さん、しめ縄作りの方…みなさん祭り話で盛り上がってます!― 最後に、岡さんはこれから祭りをどういう風にしていきたいですか?

三瓶のお祭りは愛媛県でも珍しいと思うんです。

牛鬼がある別の地域の人からも『鉢合わせは珍しい。』とか『最後神様に首突っ込むなんて、えらいことしよる。』とかいう話を聞くし、他にはない特徴がいろいろあると思う。

だからもっとよそからも見に来てもらいたいと思うし、そのために市からももっと情報発信して欲しいですね。ミカメジャーナルでも、どんどんやってくださいよ。

僕たちは祭りが盛り上がるように、そして続いていくように頑張ります。

岡さんからは祭りを大事にしたい、自分たちの世代も積極的に協力して守りたいという想いがよく伝わってきました。

こういう若い世代の方の力は、少子高齢化の三瓶にとっては本当に心強いことですね。
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三度の飯よりざぶとん投げ岡さんにお礼を言って会場を見渡すと、大人の酒で退屈している子供らが和室でワイワイ。

ざぶとん投げに、ざぶとんすべり台…。

そのホコリにもめげず盛り上がっているお母さん方にも、ちょっとお話を聞きたいと思います。

今年6歳の洸哉(こうや)くんを四ツ太鼓に乗せるという仲村さんご一家。洸哉のお母さん・愛さんにお話を伺いました。

― 洸哉くんを四ツ太鼓に乗せようと思ったきっかけは?お父さんが乗られたからですか?

いいえ、私が浜の出身なんです。女の子は(当時)四ツ太鼓に乗せてもらえんかったので、うらやましかったですね。乗ってる男の子見ながらいいなぁと思っていました。

浜に実家がありますので、そのご縁で今年息子を乗せることにしました。

憧れの四ツ太鼓に息子を乗せることができて、嬉しいです。

― ではお父さんも初めての参加なんですね。

そうなんです。息子が出るからということで、初めて参加するんです。

お父さんにしてみれば、嫁さんに無理矢理ひっぱり出されて、まだ何が何やら分からんうちに今日の中祝いに来たっていう感じかも(笑)。

仲村さんご一家。真中の青いシャツが、今年主役の洸哉(こうや)くん。― 乗り子さんのお母さんということで、大変なことはありますか?

当日も料理を準備したり子供の世話したり大変だと思うんですけど、今は練習の送り迎えが大変ですね。

でも子供ものりたい!って言うし、自分の憧れもあるので楽しみです。

― 四ツ太鼓の乗り子の衣装や化粧は華やかですよね。それもお母さんがどなたかに指導受けてされるんですか?

いいえ、朝早くから地元の美容師さんにして頂くようにしています。

ぜひその着付けも見てみたい!お願いして、本祭当日に洸哉くんの1日を取材させてもらえることになりました!
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というわけで、四ツ太鼓取材はまだまだ続きます!お楽しみに!

仲村家の取材は予定です。当日大変お忙しいところにお邪魔しますので、都合により取材ができない場合があるかもしれません。ご理解、ご了承ください。

コメント / トラックバック6件

  1. よよ より:

    レポートありがとうございます。
    お祭りまで、あと少しですね、帰省が楽しみです。
    乘り子さんには、当日まで一杯練習して頂いて、当日はしゃんと太鼓を叩いてもらいたいですね。
    リズムが良いと担ぎ手も力が入りますからね。

  2. ▼よよさん
    よよさんの
    >>当日はしゃんと太鼓を叩いてもらいたいですね。リズムが良いと担ぎ手も力が入りますからね。
    というコメントに、四ツ太鼓への厳しさと愛を感じました!!

  3. 浜青年団長 より:

    三瓶ジャーナルさん中祝いの取材ありがとうございました。

    僕は取材依頼があるまで、正直三瓶ジャーナルさんの事を知りませんでしたが、取材後からはいつもサイトをチェックしています。こないだはテレビにも紹介されてて、凄いですね!

    中祝いの様子も、しっかり伝えでいただき、ありがとうございました。
    今度とも浜青年団をよろしくお願いします。(^_^)

  4. ▼浜青年団長さん
    先日は大変お世話になりました!また、度々サイトを覗いてくださって、ありがとうございます。
    長年町内に住んでいても祭りの事が分からない、興味がない、という女性が多い事を知り、同じように知らない私の目線で書きたいなと思って書きましたが、しっかり伝わったでしょうか…?
    不安ではありますが、これが自分の精一杯なので…うまく伝わらなかったらすみません…。
    とにかく!今後ともよろしくお願いいたします!

  5. わっしょい より:

    四つ太鼓大好きなので。
    四つ太鼓のいろんな取材おねがいします。

  6. ▼わっしょいさん
    今年は四ツ太鼓を組むところと、乗り子さんとそのご家族を追う予定にしています!…相撲甚句に出る旦那の世話と同時進行なので、私の体力が持ったらいいんですが…。お楽しみに!

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