イッチキチミチキタ ─三瓶の社会科見学─
第3回 三瓶共同選果場(後編)
三瓶町内の企業や商店でどんなお仕事が行われているのか見てみようという、社会科見学のコーナー「イッチキチミチキタ」。
前編に引き続き、後編ではみかんのお話色々です。前編でもご紹介した、坂本さん、二宮さん、桜田さんにお話を伺いました。
酸味?甘味?みかんの好み!
選果場の皆さんのお話によると、みかんも地方によって好みがあるんだそうです。
私は甘さだけではなく酸味もそこそこあるみかんが好みです。甘いだけのみかんだと、なんだか物足りない気がするんです。それでやっぱり小玉ですね!あのパツパツの皮にぎゅっと詰まった感じ!
三瓶の方なら分かって頂けますよね!?
だから贈答用は別としても、日本全国やっぱりちょっと酸っぱい小さいのが一番ウケがいいだろう…とばかり思っていました。
ところが関東で最近人気があるのは、酸味が苦手な人が多いせいか酸味がかなり抑え気味の、甘みを多く感じるみかんなんだそうです。
他にも千葉あたりでは、地元や西では人気のない超大玉が人気なんだとか。大きい方が見栄えがいい…縁起物かなにかの名残りでしょうか。
地域にあわせていろんな好みがあるんですね。
物が豊富にあり、消費者が味の好みに敏感になってきている時代ですから、市場への出荷の際は地方ごとの嗜好も考慮しているそうです。
そこで前編でご紹介した光センサー選果機が必要になってきたんですね。マーケティングもなかなか大変です。
「みかん」と言ってもいろいろ
他県の人にとって「愛媛=みかん」のイメージはいまだ強いのですが、実は近年みかん生産量1位は和歌山県で、その他静岡県や熊本県なども生産に力を入れています。
桜田さんに「にしうわみかん」のウリをお聞きしたところ、「きめの細やかさ」と「適度な糖度と酸度でコクのある味わい」だそうです。
みかんの「きめ」とか「コク」とか言われてもピンと来ない方は、ぜひにしうわみかんと他県のみかんを食べ比べてみてください。みかん好きだったら「きめ」とか「コク」とか、桜田さんのおっしゃった良さが分かって頂けると思います。あと引く味わいですよね!
さて、代表的な温州みかんの他にも他産地との差別化や現代人の嗜好、気候の変化にあわせて、いろいろな種類の柑橘を三瓶町内で生産しています。
左の画像「西宇和のかんきつ」を見て頂いたら分かると思うのですが少しずつ旬がズレていて、4月くらいまでいろんな柑橘を収穫することができます。
中でも三瓶共同選果場が特に力を入れている柑橘が「清見」と「ニューサマーオレンジ」。
清見は新品種の母と呼ばれる程、最近の新しい柑橘の基になっている柑橘。濃厚な味です。
また、三瓶の特産品・ニューサマーオレンジは果肉のまわりの白いふわふわがおいしい珍しい柑橘で、りんごみたいに剥いて食べます。生食用に出荷する他、選果場ではオリジナルでジャムを作って販売しています。
そういえばニューサマーオレンジ最大の謎といえば、地元の人たちはなぜか「ニューサンマ」と呼ぶこと。
ニューサマーオレンジを知らない人に、つい「ニューサンマ」と言ってしまうと「それみかんなの?新しい品種のサンマなの?」と、魚と思われることが。
これは三瓶町が海のそばだから「サンマ」になっちゃったのか?でも三瓶でサンマ獲れないしなぁ?
ちなみに私は「せとか」がお気に入りです。2月頃に潮彩館に買いに行くと形は悪いけど味はおいしいのがお手頃価格で買えるんですが、選果場の皆さんのお話によると
「贈答用は1個1000円くらいするのもあるよ。」
…やっぱりみかんは地元で買うべき…(いや、物々交換するべき)。
関東で高級柑橘といえば「デコポン」が有名だと思いますが、このデコポンは先ほど紹介した清見とポンカンの掛け合わせ。味だけではなく、包丁を使わず手で剥けるという食べやすさも、広く知られるようになった理由では?ということでした。
みかんの厳しい現実
昔は冬といえばコタツにみかん!お正月用にみかんを箱買い!…という家庭が多くありました。しかし、近年みかんの消費量が激減しています。
最近はみかん以外の果物も多種多様になり、またデザートとして喜ばれるお菓子なども豊富にある中で、珍しくなくなったみかんを選ぶ事が少なくなったのではと言われています。
食べる時に手が汚れる、(手で剥けない柑橘について)包丁を使うのは面倒…などの理由も聞かれるそうです。
さらにみかんそのもの(生食用)よりも、お菓子などの加工品に利用される量が増えているそうです。
そのため形や味がよいみかんが評価されずに加工品用として回されてしまうことでみかんの値段は下がり、その結果、後継者不足や耕作放棄地が増え続けている事に悩まされています。
坂本さん、二宮さん、桜田さんも日々生産状況を把握しながら、様々な情報も集めつつ「もっと三瓶産の良質な生食用みかんを販売していきたい。」とおっしゃっていました。
編集後記
三瓶ではたくさんの方がみかんの生産や流通に関わっています。
厳しい自然と向き合って生産されている方、時代のニーズにあわせたみかんについて日々研究されている方、寒い中で何時間も立って選果されている方…太陽の恵みだけではない、たくさんの三瓶人の愛情が詰まっています。
この記事をきっかけに、今年の冬は三瓶産みかんをご家族で味わって頂けたらなと思います。
そしてご紹介したみかんウンチクを「えっ?知らんの?」などと披露しながら、ご近所さん、職場の方、お世話になった方に三瓶産のみかんを配って紹介してくださいね!
<< 第三回 三瓶共同選果場(前編)